『ストレスの限界。職場で冤罪をかけられた私の脳と体を救った「納豆卵かけご飯」の奇跡』

メンタル回復・セルフケア

身体のSOS|脳のバグと自律神経の乱れ。ストレスホルモンが過剰分泌された5ヶ月間

あの5ヶ月間を振り返ると、私は毎日「普通」に生活しているつもりでした。

仕事へ行き、検査や軽作業をこなし、周囲にはなるべく普段通りの顔を見せる。

それでも、体は正直でした。

夜になっても眠れない日が続き、朝は目覚ましより早く目が覚める。総務に呼び出されるかもしれないという不安で手が震え、突然涙があふれて止まらなくなることもありました。肩や首は常に石のように固く、食欲もなく、「お腹は空いているはずなのに食べたいと思えない」という不思議な感覚が続いていました。

当時の私は、「自分は精神的に弱い人間なんだ」と責めていました。

しかしストレスと脳の関係について調べる中で、その考えは大きく変わりました。

人は強いストレスを受け続けると、脳の中にある視床下部という場所が危険を察知し、体を守るための指令を出します。

その結果、アドレナリンコルチゾールといったストレスホルモンが分泌され、「いつ敵が現れても逃げられる状態」を維持しようとします。

本来であれば、とても大切な防御反応です。

ところが、それが何週間、何か月も続くと話は変わってきます。

交感神経ばかりが働き続け、副交感神経が十分に働けなくなることで、自律神経のバランスが乱れやすくなることが知られています。その結果、不眠や肩こり、動悸、食欲低下、涙が止まらない、集中力の低下など、心だけではなく体にもさまざまなサインが現れることがあります。

私に起きていたことは、まさにこれでした。

職場では「普通」を演じていましたが、脳の中ではずっと非常ベルが鳴り続けていたのです。

さらに、私が苦しかったのは「終わりが見えないストレス」でした。

今日は呼び出されるのだろうか。

また何か嘘を言われているのだろうか。

会社は何を考えているのだろうか。

そんな答えのない不安が毎日積み重なり、脳は常に危険を探し続ける状態になっていました。

心理学では、人は「予測できないストレス」が続くほど心身への負担が大きくなりやすいことが知られています。

だから私は、自分の身を守るために、頭の中で何度も時系列を整理し、総務に聞かれそうな質問をシミュレーションしていました。

当時は「考えすぎなのかな」と思っていましたが、今振り返ると、それは混乱した状況の中でも自分を保とうとする精一杯の自衛だったのだと思います。

もし今、この記事を読んでいる方の中に、

「最近眠れない」

「涙が止まらない」

「以前は平気だったことがつらい」

そう感じている方がいたら、それは決して「心が弱いから」ではないかもしれません。

脳も体も、一生懸命あなたを守ろうとしている結果なのです。

だからこそ、「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込むのではなく、「体がSOSを出しているんだな」と気づいてあげることも、大切な自衛のひとつだと私は思っています。


NTKの奇跡|なぜ限界の私は、猛烈に「納豆卵かけご飯」を欲して幸せを感じたのか?

不思議なことに、あれほど食欲が落ちていた時期でも、どうしても食べたくなるものがありました。

それが、納豆卵かけご飯です。

豪華な料理でも、高価な食材でもありません。

温かい白いご飯に納豆をのせ、卵を割り入れて混ぜる。

ただそれだけなのに、一口食べると胸の奥がふっと緩み、「ああ、おいしい」と心から感じられました。

当時は理由など考えていませんでした。働きながらの朝ごはん、手早くとりあえず栄養をとらないと、と食べ始めたメニューです。

でも後から栄養学を調べて、「体はちゃんと必要なものを求めていたんだ」と驚きました。

まず、脳内で安心感や幸福感に関わるセロトニンという神経伝達物質があります。

セロトニンを作るためには、材料となるトリプトファンだけでなく、その働きを助けるビタミンB6や、脳へ運ばれやすくするための炭水化物など、複数の栄養素が必要だとされています。

納豆にはトリプトファンとビタミンB6が含まれ、卵にもトリプトファンが豊富です。そして白米は炭水化物を補ってくれます。

つまり、納豆卵かけご飯は、セロトニンづくりに必要な栄養素を効率よく摂りやすい組み合わせだったのです。

さらに、卵に含まれる良質なたんぱく質やビタミンB群、リン脂質の一種であるレシチンは、脳や神経の働きを支える栄養素として知られています。

強いストレスが続くと、頭がぼんやりしたり、物忘れが増えたりすることがありますが、十分な栄養を摂ることは、疲れ切った体を立て直す土台になります。

そして、私が特に興味深いと感じたのが脳腸相関という考え方でした。

腸と脳は迷走神経などを通じて密接につながっており、ストレスを受けるとお腹が痛くなったり、逆に腸内環境が整うことで気分にも良い影響を与えたりすることが分かってきています。

また、体内のセロトニンの多くは腸で作られるとされており、腸内環境を整えることは心身の健康にも関わると考えられています。

納豆のような発酵食品は腸内環境をサポートする食品の一つとして知られています。

もちろん、「納豆卵かけご飯を食べればストレスが治る」という単純な話ではありません。

けれど私は、限界だったあの頃、体が本能的に「今の自分に必要な栄養」を求めていたのではないかと感じています。

理不尽な職場環境は、自分一人では変えられないこともあります。

だからこそ、睡眠や食事、呼吸、運動といった、自分で整えられる部分を少しずつ守ることは決して小さなことではありません。

もし今、心も体も疲れ切って何を食べればいいのか分からなくなっているなら、まずは温かいご飯を一杯食べてみる。

そんな小さな一歩が、「今日もなんとか生き延びよう」と思える力につながることもあります。

私にとって、納豆卵かけご飯は単なる食事ではありませんでした。

理不尽な毎日の中で、「まだ自分は大丈夫」と静かに教えてくれた、小さな希望だったのです。

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